地方創生・地域活性化の第一線で活躍する「地域おこし協力隊」

未だ多くの課題を抱えている「地域おこし協力隊」制度について現役の隊員および受け入れ自治体職員への
アンケートおよび直接取材を通して浮き彫りになった現状とその可能性について共有するサイトです


募集条件・処遇・採用

 
 

「地域おこし協力隊の現状」シリーズの中で過去2回は、隊員そのものにフォーカスを当て、どんな方が地域おこし協力隊に挑戦し、どのような思いで活動をされているかリアルな現状をご紹介してきましたが、今回を含めこれからの数回は地域おこし協力隊を取り巻く環境について募集・採用・受け入れ・活動内容・活動後の状況という形で地域おこし協力隊の皆さんがたどる道を追いながら現状をお伝えしていきたいと思います。
今回はそのスタートとして地域おこし協力隊の皆さんが最初に地域おこし協力隊というものと接点を持つ募集(応募)・採用について調査した内容をご紹介いたします。


なお、毎回の注釈で恐縮ですが、本ブログは協力隊や受け入れ自治体の職員の皆さんへの直接取材とアンケート調査*1の結果に基づく内容になっていること、全国で約4,000名が活躍する地域おこし協力隊全員にお話をお聞きすることは困難であることからお話をさせていただく内容はあくまでも一部から全体を推測するものであり、あくまでも傾向であること、そして、ご協力いただいた皆さんに匿名での取材をお願いしておりますので、個人・団体を特定できる情報は一切掲載していないことをご理解ください。

さらに前回同様、今回のブログも特に現在隊員を受け入れている自治体の職員の皆さんやこれから隊員を募集することを考えておられる自治体の首長を始め、関係者のみなさんにぜひ読んでいただきたい内容になります。
協力隊の皆さんがどのような背景を持ち、どのような思いで隊員に応募してきたか、活動中に感じている不安はどんなものかなど隊員の皆さんの現状について受け入れ自治体の皆さんに知っていただくことで、隊員の皆さんへの理解を深めていただくと同時に地域おこし協力隊の成功の必須要件である隊員と受け入れ自治体および職員との間の信頼関係を築く一助になれば幸いです。

*1 : 2016年5月から7月にかけて地域おこし協力隊のみなさんを対象に行ったインターネットアンケート。結果の詳細はこちらをご覧ください。

募集内容

あくまでも私が見聞きした範囲ですが地域おこし協力隊が募集される活動内容は大きく下記の3つに分けられることが分かりました。

  • コミュニティー型
  • 特定地区・集落の課題を解決することをメインの目的としているため配属地域は決まっているが具体的な活動内容が決まっていないケースが多いという傾向があります。


  • ミッション型
  • あらかじめ具体的なミッションが決まっていることから活動内容が比較的明確であるという特徴があり、そのため隊員にとっても取り組みやすいという特徴があります。


  • ミックス型
  • 上記の両方の特徴を含んだものであり、広い意味での村の課題について能動的に発掘すると同時にその解決策を企画し、実際に実行していく、いわば「課題発見解決型」の活動であることが特徴と言えます。


コミュニティー型の活動としては高齢化する地域住民の生活支援や地域コミュニティーの再生が一般的ですが、多くの地方自治体の直近の課題である「後継者不足」の対策として地域おこし協力隊を募集するケースも一部に見られます。
募集要項の活動内容に「後継者」と謳われていることはなく、選考プロセスの中で配属先が後継者を求める地域のNPOや個人経営の農家、豆腐屋などであることから隊員自ら気づくケースが大半のようです。
このように後継者として期待されていることは、きちんと期待に応えることができれば任期満了後の「職」が得られるだけなく一生の仕事が見つかる可能性が高いことから「職」を得ることに対する期待が大きい隊員にとっては悪い話ではないと思います。
しかし、その反面、非常に閉鎖的な環境に身を置くことも多く、受け入れ組織の担当者と相性が悪い場合には、逃げ場がなくなってしまい一転して厳しい状況になることもあることから事前に受け入れ自治体の期待も含めてしっかりと見極めることが重要かもしれません。
また、地域おこし協力隊であればその地域に移住することが前提であるためコミュニティー型の地域おこし協力隊の活動である「地域住民の生活支援」や「地域コミュニティーの再生」にはいずれにせよ関わることから敢えてコミュニティー型の採用をする必要がないのではないかという声も聞かれました。さらにコミュニティー型はその活動の性質上任期満了後の生業を見つけることが難しいこともあり、仕事がなければ結果的にその地域を離れざるを得ないという現実もあることから、あくまでも印象ですが地域おこし協力隊全体の流れとしてコミュニティー型からミッション型やミックス型の方向に向かっている印象を受けました。

ミッション型の例としては、「特産品企画・開発」や「移住定住促進」、「農業支援」、「観光振興」、「空き家対策」、「古民家再生」などがあります。
また、ミッション型に多い傾向ですが行政機関を拠点として仕事をするケースにおいては、本来は職員がすべき定常的な業務を隊員にさせるというケースも少なからずあり、本質的にはよそ者の視点を持った取り組みや役場の職員が手を出しずらい仕事をしてもらいたいという意図もあるようですが、リアルな背景として行財政改革の影響により慢性的な人手不足に苦しむ自治体の姿があり、新規で職員を採用しようとしても都市部に比べれば生活環境が厳しい山間部の地域では募集すれど応募がないという現実もあることから、現実的には協力隊の工数も活用しないと日々の業務のままならないという実情もあるようです。

私自身、取材を始めた当初は上記のように協力隊に行政の仕事をさせることについては否定的でしたが、「地域おこし」を進める上でそもそも行政機関としての業務をきちんと遂行できる環境作りが必要である自治体の現状を踏まえると、地域おこしプロセスの最初のステップとして隊員が職員の仕事をサポートすることは現実的に地域おこしプロセスを前に進める上で、そして、隊員自身が地方自治体の業務を理解し、それを踏まえた活動をする上で有益ではないかと考え方もあるのではないかと考えるようになりました。

ただ、その場合には透明性を持って自治体の状況について誠実に協力隊と話しをすると同時にきちんと同意を得ることが大切ではないかと思います。また、隊員の任期終了時には隊員が生活できるくらいの収入を得られる仕事を役場が責任を持って提供することが前提になると思います。


また、ミッション型であっても募集要項における主な活動内容において下記のように地域おこし協力隊の典型的な活動を列記しているだけのケースでは、隊員を受け入れる目的が不明確であり、具体的な活動内容が決定していないケースも多く、着任したとしても受け入れ自治体や地域住民の準備が整っておらず、結果的にやることがなく放置されるケースも少なくなく十分に注意が必要ではないかと思います。

農業の6次産業化にむけた企画開発、荒廃農地解消活動支援
観光施設への誘客支援、観光イベントの企画・運営
伝統行事等の継承支援、里山の保全活動の支援

最後にミックス型ですが、制度発足当初から地域おこし協力隊を導入している先進的な自治体が最近取り組みだした他に例をなかなか見ない新しい取り組みです。
特徴としては、地域住民として地域コミュニティーに入り込み、地域住民と同じ生活をすることを通して地域の課題を発掘し、その解決をミッションとする活動になりますが、個人的には地域おこし協力隊の特性を非常うまく活用した活動ではないかと思います。

コミュニティー型では、地域住民の生活支援などがメインの活動になることから、そこで課題を見出し、解決するためのアクションを取る前に任期が終わってしまい、逆にミッション型では、自治体から与えられたミッションが前提になるためそのミッションを定義する職員自身が長年地域住民であることや役所の立場の視点が入ってしまうため思考範囲に限界があります。
その点、そもそも「よそ者」の視点を持つ地域おこし協力隊に「よそ者」から見た地域の課題を発掘してもらうことは、とても理にかなっていると言えます。
ただ、一方で3年という短期間で地域に溶け込み、地域の現状を正しく把握するためには、視野の広さ・視座の高さが求められると同時に行動力と高いコミュニケーション能力が求められるだけでなく、課題を解決する手段を考え出す問題解決力・企画力、そして実行する実行力・人を巻き込む統率力が求められるため採用プロセスを通して人材をきちんと見極められることが求められることは言うまでもなく、だからこそ導入実績が豊富な先進自治体だから到達し、運営できる活動ではないかと思います。

雇用形態

次に雇用形態ですが、自治体によっては職員の1/3を占めるとも言われている臨時職員という形で隊員を採用しているケースもありましたが、基本的には非常勤特別職もしくは嘱託職員と呼ばれる地方公務員法第三条第三項に規定される特別職として首長から委嘱されるケースが大半でした。

1 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職 (地方公共団体の首長、議会の議員、副知事、副市町村長、行政委員会の委員など)
2 地方公営企業の管理者及び企業団の企業長
3 法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会(審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの
4 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職
5 地方公共団体の長・議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの(特別秘書等)
6 非常勤の消防団員及び水防団員の職
7 特定地方独立行政法人の役員

地域おこし協力隊は主に上記の4に該当し、そのため嘱託職員とも呼ばれる事が多いようです。
特別職は地方公務員法の適用を受けないこと、原則委嘱による任免であることから処遇は委嘱内容により個別設定することができますが、特別職であれ臨時職員であれ多くの自治体における協力隊の雇用形態は、他の職員との処遇のバランスを考慮し決定されていることが多く、地域おこし協力隊の活動のしやすさや成果の出しやすさ、任期満了後の生業作りまで考慮し、地域おこし協力隊向けの独自の処遇を新たに設定している自治体は非常に少ないのが実情です。

報酬

地域おこし協力隊の報酬額は、本制度の中では右の図(スマホでは上の図)のように400万円のうち200万円を上限とすると決められているため200万の12等分(16 万6000円)が大半でした。しかし、平成27年度から隊員のスキルなどを考慮し報酬上限を250万円まであげることができるようになったこともあり、近年は月額20万円に近い金額で募集している自治体も増えてきているようです。

ただ、先述した通り250万円を報酬に充てるには一定の条件を満たしている必要があり、すべての自治体で適用できるものではないことから地域おこし協力隊に関する特別交付税以外の財源からも予算を捻出し報酬額を上げている地域も少なからずあるのではないかと思われ、第二回「制度・導入状況」でも触れたように売り手市場の中で処遇競争を呈している様子も一部にみることができました。
一方で200万円の12等分の16万6000円の中に雇用保険や社会保険料が含まれているケースもあり、その場合の手取り収入は14万円を切っているという厳しい現実も見ることができました。(なお、参考までにですが報酬上限の外に社会保険料や雇用保険量を出している自治体も実際にあります。)

当社が行ったアンケートにおいても報酬額について協力隊のみなさんにお聞きしていますが、手取り報酬額が13万円以上14万未満の比率がもっとも高く約3割を占めており、平均手取り月収は15万円弱*1となっていることから2016年の大卒新入社員の手取り月収(16-17万円)を下回る厳しい水準であることがわかります。

なお、蛇足ですが協力隊の報酬も上述の雇用形態同様、他の職員とのバランスを意識しながら決定している自治体が多く、結果的に地域おこし協力隊の報酬水準から地方自治体で働く「官製ワーキングプア」と呼ばれる臨時職員や嘱託職員の給与水準も垣間見ることができ、地域おこし協力隊の調査を通して地方自治体の組織運営の歪みを見たような気がしました。

*1: 各金額区間の分布が区間中央値を中心とした正規分布をとっていると仮定して算出

一方で隊員の皆さんからは任期満了後の生業に関する不安は多く聞かれたものの、任期中の生活が厳しいという話をお聞きすることは一度もなく、そこで生活をすることに限って言えば問題のない水準なのかもしれませんが、隊員の主な年齢層がこれから結婚し所帯を持つ20代30代でもあることを考えると、この報酬水準で将来の備えも含めた生活ができるのかといえば疑問が残るところであり、少子高齢化対策という観点やそもそもにこれからの社会を担い若者を社会全体で育てるという観点で考えれば大いに改善の余地があると言えるのではないでしょうか。

そんな中、一部ではありますが一年ごとに報酬額があがるベースアップ方式をとっている自治体やボーナスという形で微々たるものですが報酬限度額との差額を支給する自治体も見られ、この背景には15万円前後の手取りで一生懸命地域のために頑張っている隊員に対して少しでも報いたいという受け入れ自治体や担当職員の思いがあると同時にその根底には職員から見ると地域おこし協力隊の報酬は低すぎるという感覚を持っている方が多い様子も伺え、今後の改善を期待したいところです。

もちろん、第二回「制度・導入状況」の中でもお話ししたとおり経済的な条件だけで隊員を呼び込むことには問題がありますが、将来家族を持つ世代が将来の自分の姿を描けるくらいの報酬水準、多様化世代が安心して地域おこしの仕事の従事できる報酬体系にすべきであり、また、優秀な人材を集めたいのであればなおさらですが、できる限りの工夫を凝らし、隊員のスキルや経験・活動内容に見合った報酬体系の整備が求められるのではないかと思います。

勤務時間・労働時間

今回の直接取材を通して地域おこし協力隊の勤務時間については主に2つの考え方があることがわかりました。
一つは自由に活動してもらうことを前提に雇用保険の適用に必要な条件*2である週の勤務時間のみを規定し、それ以外は出退勤の時間や休日などについていっさい規定しないケース。もう一つは出退勤の時間や休日についても他の職員の職務規定に準ずる形で規定されているケースです。

傾向として隊員を導入したばかりの自治体に前者が多く、隊員の導入歴の長い地域ほど後者のケースが多い印象を持ちました。
前者のケースでは、隊員個人の意思次第で如何様にも時間を使うことができ、隊員個人の意識とモラルに委ねられているため隊員の成熟度や地域おこしや地域に対する思いに依存する反面、職員としての管理工数は最小で済むことからあまり考えずに前者を選択する自治体も少なくないのかもしれません。

しかし、協力隊の仕事は役場の職員を含め地域の多くの方々と協力しながら活動をすることが前提であることから地域の方々と異なるリズムで仕事をすることは役場の職員との人間関係の形成や業務効率、地元住民感情から見てもメリットが少なく、隊員が自由に動けることのメリットよりデメリットの方が大きいと考え、自治体の中には地域おこし協力隊の活動のしやすさを重視し、意図的に勤務時間を他の職員に揃えるところもありました。また、まさにこれが地域おこし協力隊の導入歴の長い自治体で後者を選択するところが多い理由かもしれません。

また、残業については、特別職として委嘱されているケースが多いこともあり手当て化しているところはほぼなく、お話をお聞きしたすべての自治体が代休で超過勤務分を処理している形を取っていることが分かりました。しかし、同じ代休制度を導入していても特別職という雇用契約上残業手当が出せないことを理由に代休にしているところが大多数であるのに対して、土日や祝祭日はイベントへ参加、平日はその企画や準備で忙しい隊員の体と心を気遣い、きちんと休んで欲しいという思いから代休としている自治体もありました。言い方一つではありますがこういうところから自治体の姿勢が伺えます。

一方で地域によっては活動の性質上季節によっては活動が少なくなる隊員もおり、それまでに貯めておいた超過勤務分を閑散期などに一気に代休として消化し長い休みをとる隊員もおられたり、地域のイベントや特産品販売のための出店などのため土日仕事をする機会の多い隊員の皆さんですが、その代わり代休として平日にしっかりと休みを取っている様子も伺え、うまくバランスを取りながら体を休めたりリフレッシュしている様子も伺えました。

*2:雇用保険法第六条(適用除外)第二項
「一週間の所定労働時間が二十時間未満である者」
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S49/S49HO116.html

また、自治体職員の勤務時間は一般的に1日およそ8時間、週およそ40時間であるのに対して当社アンケートに回答いただいた隊員の平均労働時間は週45時間*3となっており、地方自治体の職員の勤務時間に照らせば毎日1時間程度残業しているということになります。

*3: 各時間区間の分布が区間中央値を中心とした正規分布をとっていると仮定して算出

また、隊員の活動拠点別労働時間を見てみると明らかに行政機関外で活動している隊員の労働時間の方が行政機関を拠点として活動している隊員よりも長く、最大で週5時間の差が見られました。
これは役場や公社・半公社など組織として仕事をしている団体では勤務時間が明確に規定されている一方、地域住民宅など地域住民の目に直接触れる場所を中心に活動をしているケースでは、勤務時間という概念が薄く公私の時間の線引きが難しいということの表れかもしれません。

年齢制限

雇用対策法が改正され、平成19年10月から、事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならないこととされ、年齢制限の禁止が義務化されました。しかし、そもそも雇用対策法が自治体職員に適用されるか否かについては、未だ明確な指針はないようです。
ただし、この年齢制限の禁止についても下記のような例外が認められており、事業者の採用においては若い人材を採用するため第一条の三の三のイである「長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき」を鑑み、「長期勤務によるキャリア形成を図るため」という文言をつけることが多いようですが、地域おこし協力隊の場合には、そもそも有期限の採用であるため、この条項を適用することは難しいと考えられます。

しかしながら、地域おこし協力隊の募集において年齢制限条項があるものも少なからず見られるという実態があり、その背景には若い人の方が将来の人口増もしくは現在人口の維持に寄与するという考えが見え隠れしますが、地域おこし協力隊の性質上どの例外条項にも当てはめずらいのではないかと考えられることから年齢制限をつけた募集は多少なりとも募集自治体側のリスクになるのではないかと思われます。
また、そもそもに仮にも公の機関であるわけですから、年齢のようなその人の能力を何も示さないもので人を見るのではなく、その人材の活用を考えスキルや経験を踏まえた採用を期待したいところです。

第一条の三  法第十条 の厚生労働省令で定めるときは、次の各号に掲げるとき以外のときとする。
一  事業主が、その雇用する労働者の定年(以下単に「定年」という。)の定めをしている場合において当該定年の年齢を下回ることを条件として労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る。)。
二  事業主が、労働基準法 (昭和二十二年法律第四十九号)その他の法令の規定により特定の年齢の範囲に属する労働者の就業等が禁止又は制限されている業務について当該年齢の範囲に属する労働者以外の労働者の募集及び採用を行うとき。
三  事業主の募集及び採用における年齢による制限を必要最小限のものとする観点から見て合理的な制限である場合として次のいずれかに該当するとき。
イ 長期間の継続勤務による職務に必要な能力の開発及び向上を図ることを目的として、青少年その他特定の年齢を下回る労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限り、かつ、当該労働者が職業に従事した経験があることを求人の条件としない場合であつて学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 に規定する学校(幼稚園(特別支援学校の幼稚部を含む。)及び小学校(義務教育学校の前期課程及び特別支援学校の小学部を含む。)を除く。第二条第二項第四号の二において同じ。)、同法第百二十四条 に規定する専修学校、職業能力開発促進法 (昭和四十四年法律第六十四号)第十五条の七第一項 各号に掲げる施設又は同法第二十七条第一項 に規定する職業能力開発総合大学校を新たに卒業しようとする者として又は当該者と同等の処遇で募集及び採用を行うときに限る。)。
ロ 当該事業主が雇用する特定の年齢の範囲に属する特定の職種の労働者(以下この項において「特定労働者」という。)の数が相当程度少ないものとして厚生労働大臣が定める条件に適合する場合において、当該職種の業務の遂行に必要な技能及びこれに関する知識の継承を図ることを目的として、特定労働者の募集及び採用を行うとき(期間の定めのない労働契約を締結することを目的とする場合に限る。)。
ハ 芸術又は芸能の分野における表現の真実性等を確保するために特定の年齢の範囲に属する労働者の募集及び採用を行うとき。
ニ 高年齢者の雇用の促進を目的として、特定の年齢以上の高年齢者(六十歳以上の者に限る。)である労働者の募集及び採用を行うとき、又は特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用を促進するため、当該特定の年齢の範囲に属する労働者の募集及び採用を行うとき(当該特定の年齢の範囲に属する労働者の雇用の促進に係る国の施策を活用しようとする場合に限る。)。

副業

副業については申請が必要ではありますが許可している自治体が多い一方、一部に全く許可していない自治体もみられ、自治体の姿勢が明確に出る分野の一つだと思います。
また、詳しく聞いていくと「副業可」にも二つの考え方があることがわかり、「副業可」と言っても内容は様々である実態も浮き彫りになりました。

「副業可」の一つは、広い意味での副業を許可しているケースであり、それは自治体以外の場所で就業機会を得て報酬を得ることを許可するだけではなく、たとえば隊員活動の中で見出した任期満了後の生業につながる事業を通して任期中に収入を得ることも許可されているというケースです。
もう一方は、前者は許可するが後者は隊員として自治体から給料をもらっているため許可しないというケースです。
また、どちらのケースもコンビニ等でアルバイトをすることは地域おこし協力隊の活動としては不適切であり地域住民に説明が難しいということから隊員に対して遠慮するよう求めている様子も伺えました。

隊員活動の中で見出した任期満了後の起業につながる事業を通して任期中に収入を得ることを許可しない背景には何があるのでしょうか。
ある自治体の職員の方にお聞きした限りでは、やはりここでも地域住民に説明が難しいという背景、つまり、一般的に自治体職員は副業が禁止されており、地域住民から見れば地域おこし協力隊も役場に雇われた職員であることから副業は禁止ではないかという声が地域住民から上がってきた場合には説明できないということです。
しかし、先に説明したとおり特別職であれば地域おこし協力隊は地方公務員法の外にある存在であることから副業を禁止する制度はなにもなく、結局は、第三回「自由度の高い制度ゆえの課題」でご紹介したように受け入れ自治体の地域住民への説明能力・地域住民との関係上生まれた制約と言えます。

後ほど詳しく説明したいと思いますが、上記のように一言で副業可と言っても様々ですがこの差が任期終了後に起業を考えている隊員の起業準備に大きな影響を与えることはいうまでもなく、特に起業を視野に入れて地域おこし協力隊になろうと考えている方にとっては非常に重要なポイントであることから募集要項に「副業可」とあっても注意しすぎることはなく、実際の例なども交えながら応募前に受け入れ自治体の担当者に対してしっかりと確認すべきだと思います。

貸与品・住宅補助など

自治体により貸与される物品や住宅補助など生活環境の整備の範囲は様々ですが、基本的にすべて特別交付税を財源とした活動費の中から賄われていました。

住宅については、お話をお聞きしたすべてのケースで官営住宅の無償提供もしくは借り上げ住宅の無償貸与であり隊員個人が費用を負担していることはありませんでした。活動費を利用しているとはいえ基本的には受け入れ自治体により住宅は手配されることから通常賃貸物件を借りる時に必要となる敷金・礼金を隊員が負担することもなく、隊員が住居関係で負担しなければならない費用は引っ越し代や水道・光熱費、個人の通信費などが主でした。
一部の自治体では引っ越し代も活動費から支出するケースやケーブルテレビ受信料やポケットWi-Fiなどを貸与しているところもみられ、経済的に余裕のないことが多い隊員に対して配慮をしている自治体の姿が垣間見られると同時に生活環境の整備という観点での活動費の使途の幅の広さに驚かされました。

また、貸与品として車やPCが貸与されるケースが一般的ですが、車については共用・専用、公用・私用という部分で考え方が別れており、豪雪地帯など生活環境としても厳しい地域では、生活基盤の整備の一環として車が必須であることから車は隊員ごとに一台専用の形で貸与すると同時に利用について公私の制限を設けていないケースが多い一方で比較的交通のアクセスが良く規模が大きい市の条件不利地域で活動している隊員の場合は、共用であると同時に公用専用であることが多く、生活環境を踏まえ現実的な対応がなされている様子が伺えました。
また、こと車に関しては、合併などの影響で公用車が余っていることも多く、その余った車を隊員に貸与できる自治体では、隊員の受け入れ都度新たに車をリースする自治体に比べて隊員の生活環境の整備に費やさなければならない費用が減り、その分地域おこし活動に費やすことができるというメリットもあると言えます。

また、多くの隊員がPC端末とデスクを提供されており、端末が総じて古いという共通点がある一方で、接続しているネットワーク環境において差があることが分かりました。
職員と全く同じネットワーク環境を活用し役場内の様々な情報にアクセスできる方もいれば別途隊員の活動用にネットワーク整備しているケースもありまちまちでした。ただ、前述のように総じて支給される端末は古く、性能の低い端末が多いことから情報発信やパンフレット作りに求められる画像や動画編集などクリエイティブな作業を行う隊員用に別途活動費から端末を購入し貸与するケースも一部には見られたものの多くの隊員が個人のPCを利用しているという現実も見られ、自治体職員のITリテラシーや情報リテラシーの低さが印象に残りました。

さらに、昨今は自治体に対するサイバー攻撃も増加しているとのこと、ネットワーク環境が数ヶ月単位で不安定になったり時に全く使えないという状況になることも少なからずあったとのこと、情報発信を積極的に行うことも主要業務の一つであると考えている隊員にとっては不満の要因となっている様子が伺えると同時にいくら主に業務で使い、個人情報なども扱う勘定系とインターネットアクセスやメールのやり取りなどを行う情報系とネットワークが分離されているとはいえ、ITリテラシーの低さと同時に地方自治体のIT環境の脆弱さを感じ、少し心配になりました。


前述の通り住宅を含めた貸与品は全て活動費から支出されるため報酬分200万円を差し引いた活動費は最高で200万円、報酬分を250万円に設定している場合には最高で150万円、であるのに対して、地域にもよりますが月々5万円程度の家賃、月々2万円程度の車のリース代だけ考えても年間90万円弱が生活環境の整備のために使われており、活動費の半分近くが生活環境の整備のための費用として消えているという現実があり、さらに社会保険料や雇用保険、ガソリン代や旅費などのランニングコストを考慮すると実際の地域おこし活動のために使える金額は思った以上に少ないという現実も浮き彫りになりました。

採用プロセス

地域おこし協力隊を採用する自治体の採用基準についてもアンケートで聞いていますが「明確な人物像を持った採用」であると感じている隊員の割合は全体の4割を超えている反面、「特に採用基準のない採用」と感じている割合が2割弱もあり、およそ5人に一人の隊員が「特に採用基準のない採用」と感じているという結果になりました。

また、「その他」と回答した7%の方の回答に下記のような意見が見られ、地域おこしという観点で見れば「特に採用基準のない採用」と読み取れるものも含まれていることから明確に選択した隊員数以上に「採用基準」が不明確だと感じる採用が多いことがわかります。

「当初基準がなかったので、今は基準を作っています」
「誰でも良い」
「都市部在住かそうでないか」
「60歳未満なら誰でも良かったと思われる。三名でしたが「こんなに来ると思わなかった」的な発言をされましたし、その後我々の扱いを役場の部署間で押し付け合いしたことも」
「女性は採用、男性は特定のスキルを持つ人が採用される傾向がある。」
「コネ」

また、アンケートにおける隊員の皆さんに「伝えたいこと」という設問に対する回答の中でも募集や採用に関する意見が多く聞かれ、下記のように採用そのものに疑問を感じている様子も伺えます。

「採用時の面接に役所の職員だけではなく活動拠点の地域のキーパーソンにも入ってもらい地域全体で隊員を選び、また採用後はサポートしていくことが重要」
「受け入れ側の精査と隊員募集の際の選考は入念にすべき」
「本来は移住・定住促進の一つの手段として地域おこし協力隊があると思われるが、人件費の掛からない人手不足の補充程度にしか思われていない感もあり」
「現状足りない人員を埋めるために協力隊を入れているところもあると聞く」
「単に国の予算で使える臨時職員というような認識での募集はしないでいただきたい」
「国からお金が出るからと安易に募集して、来てくれた人の人生を壊すケースが多い」

また、同様にアンケートにおいて隊員の皆さんに「協力隊導入の背景」について感じることを選択いただきましたが、「よそ者の視点・意見を求めて」が最も多く全体の3割を占め、次いで「定住者を求めて」が2割強、「特定のスキルを持つ人材を求めて」が1割強となっており、隊員導入に関して7割弱の隊員が前向きな意図を感じているのに対して、「特に理由はないように感じる」が13%、「横並び意識から協力隊を募集」が11%、「人手不足解消」が5%、「補助金目当て」が約3%と導入に関して前向きな意図を感じていない割合が3割にも及んでいました。

地域おこし協力隊を受け入れている自治体の担当職員の方々にお話をお聞きする限り、地域おこし協力隊の選考プロセスは書類選考および一回の面接のみである自治体が多く、書類選考も応募ができる地域かどうかを見ている程度であり、選考とはいえないことから実質的な選考は面接一回という自治体が多いという状況でした。

また、隊員の皆さんや職員の方々にお話をお聞きする中、面接は理事者(首長、副長、教育委員長など)や部長クラスだけが行い、実際に隊員の面倒を見る職員が面接の場にいることはあっても、採用権限がないため採用の是非に関する意見は言えない状況であることが多かったり、大半のケースでは面接の場にいることもないという自治体が少なくないことがわかりました。
地域おこし協力隊に多い特別職は、首長からの委嘱であるためか、はたまた地方自治体の人事権の関係からかこの面接方法は協力隊に限らずすべての職員の採用において同じであるとのこと、また、規模の小さい地方自治体ほどこの傾向が強い様子も伺えました。

この背景についてある職員の方にお聞きしたところ、地方自治体の採用は、基本的に特定課の人材を採用するという考え方ではなく、役場の職員として採用するという考え方が前提であることからスキルや経験、能力というより人物像や熱意を見ることに注力しており、そのため組織の責任者が見るという形になっているという話でした。
これはあくまでもある特定の職員の方のお話ですので全て自治体がそうではないことは言うまでもないことですが、それでもなんとなく納得感のあるお話でしたので参考までにご紹介いたしました。

また、協力隊の採用に関しては、公の機関として募集し、応募があったにもかかわらず採用なしという形で終わることが難しいという話も聞かれたこと、そもそも応募者の絶対数が少ない自治体も多く、選考自体が行われることが少ないということも積極的に採用基準や採用プロセスを整備する自治体が少ないことの背景にあるのかもしれません。

最後に

以上のことからわかることは、一部に明確な導入目的・採用基準を持たずに安易に隊員の募集を行っている自治体があること、さらには地域住民や自治体職員にはできないことを期待している割には、他の行政職員と同様のプロセス、同じ処遇で採用・選考を行っている自治体が少なからずあることが分かりました。

言うまでもないことですが、人材がベースである協力隊制度の有効活用の鍵は人材を活かすことですが、そのためには、そもそもの導入の目的とそれを実現するために必要な人材として協力隊を定義し、その上で協力隊に期待することを明確にし、それらを踏まえた採用・選考プロセスを整備するだけでなく、年齢などではなくスキル・経験をしっかりと考慮し、活動内容にあった募集条件・雇用形態・報酬体系などの整備が求められますが、現状を見る限りではまだまだ改善の余地が大きいようです。

明確な目的や期待がないままこれからを嘱望される隊員を採用し、仕事を与えぬまま3年間ただ雇用することは、隊員個人の成長機会を奪いだけではなく、これからの社会を担う若者の将来を奪うことと同意ではないかと思います。

今回の調査を通して個人的に感じることは、地域おこし協力隊の仕事は地域の課題を解決するという挑戦機会であり、その挑戦機会を生かした人材育成の場であるという意識が受け入れ自治体の中でとても低いことです。
その背景には即戦力として地域おこし協力隊を採用しているという考えも見え隠れしますが、そもそも地域住民と同じ環境で生活をしながら地域おこしを専業とする仕事は、地域おこし協力隊が初めてであり、即戦力という考え方がそもそも不適切であること、さらには20・30代のまだまだ成長途上の若者を積極的に雇用するのであればなおさらですが、人材の活用という観点での人材育成の視点を地域おこし協力隊の運営に導入することは必須だと思います。

また、地域おこし協力隊を導入するような地域では、地域コミュニティーを担う中核人材がいないという中長期的な共通課題があることを考えると、その地域の中核人材を育てる意味でも地域全体で地域おこし協力隊を育てる環境を作ることが求められるのではないかと思います。
地域おこし協力隊はもともとその地域に何かしらの思いを持って移住してきたわけですから「育ててもらった」と感じれば感じるほど地域に恩返しがしたいと意識が強くなり、結果的に定住の可能性も高まると思います。

人材育成という視点を導入して地域おこし協力隊を導入することで、長期的な視点を持った地域のあり方や地域おこしのあり方の議論は避けられなくなり、その結果地域おこし協力隊に期待することや適正な処遇なども自ずと見えてくると思いますので、これから受け入れをお考えの自治体の皆さんにはぜひ検討いただければと思います。

次回は、地域おこし協力隊の話の中でもっとも不満が多く聞かれる自治体の受け入れ態勢についてご紹介いたします。

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本ブログの著者

ミエルカ・ラボ代表 石橋宏太

国内に限らずロンドン・ニューヨークなど国外での就業経験を持ち、事業・業務プロセス・組織・人材の変革に多く携わった経験を持つ変革推進(チェンジマネジメント)のスペシャリスト。
現在は企業経営・変革推進の視点から地方自治の変革や地方創生・地域活性化を支援する事業を行っており、その一環として地方の課題の一つである人材活用の観点から地域おこし協力隊に興味を持ち、調査を開始。直接取材やアンケート調査を通して100人以上の地域おこし協力隊関係者と話をした結果を構造的に分析し、人材育成の観点から協力隊を地域おこしに繋げる独自の手法を確立。現在は地域おこし協力隊の導入・運用についても積極的に支援を行っている。

講師実績
2017年6月9日 全国地方議会勉強会「地域おこし協力隊の現状と課題」「先進事例に学ぶ地域おこし協力隊の活用術」

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皆さんの意見を聞かせください

地域おこし協力隊制度はまだまだ発展途上であり、事例やノウハウの共有が必須になります。
皆さんのご意見・ご感想などなんでも結構です。多くのコメントをいただき、本サイトが地域おこし協力隊のノウハウ蓄積・事例共有の場の一つになれば幸いです。